2014年12月31日水曜日

2014年

一期一会という言葉がある。

未来と過去が出会う現在は一瞬にすぎない。その瞬間であったらもしかしたら次はないかもしれない。だからその出会いを常に大切にしなければならない。


一度離した手は二度とつながることはないということ。

たまたま津のパフォーマンスの最後で手を握ってもらったときにいろんなことがフィードバックしてきた。うちの師匠の最期のときも、銀河鉄道も、静にとっては義経だ。一度断ったこと、消したものは二度と戻ることはない。時がたてば解決することはあるが、時がたつのでそのときとは違うことが起きてしまい同じかたちでつながることは二度とない。そして同じかたちでつなげてはならない。
当たり前のことだが、そのことを学ぶ一年だったように思います。


この2014年はこの5年ほどの全てがまとまるかのような1年でした。帰国して既に5年ほどたちますが、かめりあ祖母、牧野先生の死をはじめとしてこれまで作ってきた作品もすべてがひとくくりされました。なお、通常2、3年に1冊まとめるファイル(チラシやプログラムの保存用)がちょうど今年の年末で終りました。なんだかすべてが一区切りのようです。
個人としては大学院に進学し学ぶという環境におかれながら、改めて「そもそも作品を作るとはどういうことか」と考えています。

ユーグとの作品タイトルはMobiusですがそもそもは蜂谷さんとユーグのCDからきたものでした(メビウスの鳥)、ぐるぐるまわりながら思うのはメビウスではなく、その瞬間が永遠でありかけがえのないものであったのだと思います。
そしてそれは実はEdgeより遥か昔既に私は知っていたのだということに気がつきました。
「時間はながれているものなのか、それとも静止のかたまりなのか」
はじめて人に振付けた作品(大学時代)のもので、その時既に私は、自分の記憶がものすごく固執したかたちで覚えていて他をすべて忘れてしまうおかしさに気がついていました。その時他のダンサー3人にはふーむといいながらがんがん踊ってもらっていましたが。
すべてのものはつながっている。永劫回帰。
しかしながらその瞬間は常に一度しかない。そんなことを思います。

輪を広げつないでいくことが2014年のテーマだと書いていました。輪を広げたのだろうかというとよくわかりません。でも何か全てがまとまった感じがあります。2015年はおそらく新しくであうための1年になるだろうと私は考えています。また思想を言語化する訓練をすることでもう少し分かりやすく物事が伝えられるようになるかもしれません。

(分かりやすいことがよいことではないことも付記しておきます)
またひとつ前へ。

今後ともご指導ご鞭撻よろしくお願いいたします。



2014
◎企画運営を行ったもの
@BankART studio NYK。国際舞台芸術ミーティング(TPAM)にて2月に公演、その後Cafe Live というBankARTさんの企画によんでいただき再演させていただきました。箏の八木美知依さん、照明三浦あさ子さんとのコラボレーション。2月は大雪の中のパフォーマンスで3階の倉庫部分だったせいもあり黒静、10月は2階のギャラリースペースの公演だったため、「しず」の宮村さん衣装をオブジェのように用い白静としました。
私はこの作品の可能性を深く感じます。

「SaRa」

セッションにいれるべきか迷いますが、ベルリンTheatre Kinoで行った中沢レイ(ダンス)Hugues Vincent( チェロ)、上地正彦(バスクラリネット)と4人で行ったパフォーマンス。構成がかなりしっかりくまれており、その中での即興というかたちで、このメンバーであればこその内容だったと思います。
トゥールChapell Saint Anne(フランス)、パリAckenbush(フランス)でもパフォーマンスを行いました。

「Mobius」

本当はドイツ語表記。上にもあるようにHugues Vincentとのリハーサルを重ねつつでも最終的に即興に持っていくシリーズ、今年はパリBertin Poireeと茶会記で行いました。




◎セッション
「こえおんだぶ/声音打舞」
TIOでご一緒している蜂谷真紀(vo,voice)さんに誘っていただき、暴れてきました。吉野弘志(contrabass)岡部洋一(perc)@音や金時

「坂田明サロン」
忘年会で出会った勢いで坂田さんに呼ばれて茶会記で踊りました。同様に森重靖宗さん、稲垣弘子さん(ライブペイント)もご一緒に。あの狭い空間で4人、しかも稲垣さん壁一面に広げて描く。終了後はミジンコ話で大盛り上がり。

orbital link


中沢レイさんが考案したダンスと音楽のイベントをベルリンで開催、地元のアーティストとの出会いの場をつくりました。



「ダンスと音と飛茶瓶洞」
蜂谷真紀(voice.vocal)さん企画第2弾はフライングティーポットにて。北陽一郎(Trumpet)、菱沼尚生(tuba)さんもご一緒に。


「続 酔狂即狂」

櫻井一也さんがきになった音楽家を招いて行うセッション企画。新井陽子さん(ピアノ)、松本健一さん(サックス)こうけつ雅代さん(サックス)、森重靖宗さん(チェロ)、おちょこさん(ボイス)菊池びよさん(ダンス)@なってるハウス

「TIO」

Tokyo Improvisers Orchestraも今回はなんとPit inn.過去3回参加していますが、着々と成長しているような気がします。

「スタジオソノリテお祝いダンス」

これをなんと名付けていいのか分からないのですが、とりあえず、そうとしかいえない待ち合わせでした。中沢れいさん、木室陽一さんがご一緒。



◎ダンサーとして参加したもの
「ペンギンカフェ」
ペンギンカフェ(ペンギンカフェオーケストラは息子アーサーが後を継ぎ現在この名前で活動しています。)のコンサートにて山田せつ子さん振付のもと踊らせていただきました。ダンサー:小田直哉さん(大駱駝艦)、衣装・マスク:岩切明香さん
京都、東京、横須賀とミニツアーとなりました。

「牧野京子舞踊研究所発表会」

「危険な岸辺」「その日を摘め」を踊らせていただきました。

◎ワークショップ
この数年続いている大学、短大の授業の他以下のような活動も行っています。

「タカセの夢」
静岡舞台芸術センター(SPAC)の振付アシスタントワークも実は5年が経過。タカセくん世代が卒業ということで、来年はおそらく新しい作品にかわることになりました。
今年はふじのくにせかい演劇祭への参加の他、ニヤカムさんの故郷、カメルーンでも公演を行いました。ニヤカムさん不在のことも多く木野はリハーサルダイレクター的役割も果たしています。

「ゆるやかにのびやかなからだをつくる時間
  町田成瀬中央小学校で活動するP-地サークルさんと津にて開催しました。
 タイトルは違いますがコントーションを学ぶ皆さんへのワークショップなども開催しました。(意外にもゆるくはなくてびっくり!)


◎DVD「Dance Potlatch」発行

まとめた感はもしかするとこの作業のせいかもしれません。
10年分の抜粋編、実は全てがはいっているわけではないのですが、それでもこれまでの作品について考えさせられました。幸せなことです。






2014年12月25日木曜日

スタジオソノリテ パフォーマンス

ゆるのび企画とあわせて踊ることになってしまった夜企画。
12月15日(月)19時より
木野彩子ダンスパフォーマンス
特別ゲストダンサーあり!
1500円

となっている。

そもそも今回の来津(こういう言い方するのかは疑問)はれいさんがカフェとスタジオを開いたのを聞いていて、なかなか学校などがあり動けなかったけれど、ご挨拶お祝いダンスを踊らねばと作った企画。(ギャラはすべてソノリテさんに。大事なことはこういう場が広がっていくことと思っています)学校の都合などもあり(あと年末をさけようとした)、静岡ついでにしたこともあり(交通費は激減)、微妙に平日。
それでもお越しくださった皆様本当にありがとうございます。

なんと大雪静(2月)を見に来てくださった方、津では知られた古民家カフェのオーナーさん、実はヨガの先生などなどさまざまな方が集まりくださりました。
れいさんの提案もあり一風変わった感じになりましたが、きの作品もまたいつか見てください。

今回はれいさんがパフォーマンスに参加してくださっただけではなくいろいろあって愛媛にいるらしい木室陽一さん(ハンダイズミ作品ハコニワニハニワトリでご一緒した)がお越しくださりとんでもなく贅沢な会になってしまいました。
そういう出会いがあるのもまたお外企画ゆえ。

カフェの経営はまだまだ始まったばかりで大変そうですが、少しずつ津の輪が広がることを祈っています。




終演後みんなでお話。ちなみに真ん中にあるのは愛媛中島のみかんとレモンだそうです。

2014年12月24日水曜日

ゆるやかにのびやかなからだをつくる時間@津

「ゆるやかにのびやかなからだをつくる時間@津」
チラシ後日アップいたします。(スキャンもつかえません)
2014年12月15日10:40-
スタジオソノリテ(中沢レイさん主宰の津のヨガスタジオ)
http://studiosonorite.blog.fc2.com/blog-entry-15.html
アルテリオ(川崎市アートセンター)ではじまった「ゆるのび」の基本コンセプトのうちおかあさんは身体をのばし、こどももその周辺で遊びながら過ごすが中沢さんのご協力により実現しました。元祖町田成瀬よりは金額があがってしまいますが(2000円)気持ちよくのびにきていただければ幸いです。
おそらくこの平日昼のひとときの過ごし方で1日が大分かわると思うのです。中沢さん自身もヨガ指導者なので、いろいろお話を聞きつつ、このシリーズの可能性を考えてみようと思います。





平日昼間、しかも津という条件ではありましたが、とても興味深いお客様に来ていただき、身体について様々なお話をしながら展開しました。しかも大幅延長、そのあとカフェに流れてさらにはなす(夜は踊ったのですが、その時のお客様はそのままきてくださった)。
普段あまり気にかけていなかったのですが、私はすごく人に飢えていたのかもしれません。これについてはまたパフォーマンスのほうで。

ゆるのびのワークは基本的に
2人組のマッサージ
1人で行うストレッチ
その場所で動けるような簡単なダンス的動き(1人で)
相手がいることによって動きの幅がひろがるもの(2人あるいは集団で動く)
かるいクールダウン
で構成されており、これはそのまま

日常のコリを強制的にほぐす(ゆるめる)
でも一人でも継続できるような簡単なストレッチの方法を教える(のばす)
表現の前段階的遊びから生まれた動き(ほぐし)
そとへとひらく(人にふれあう)
からだについての質問などをうける

となっていて、私はうまく構成されているように思っています。(手前味噌ですが)
面白いことに子供の場合は日常のコリがないためマッサージ時間を短くしたりしますが、ほぼ同じ内容で展開できるのもミソです。

ただこれらはあくまで短期ワークショップの形態で長期的に行っていく場合はある種の技術の習得とかがないと飽きてしまうのかもしれません。つまり短期でやっているうちに自分で覚えてお家で展開していくのが理想です。
ストレッチ、マッサージともに覚えるまでには2,3回か行わないと難しいとは思いますが、ご興味のある方、場所あれば出張いつでもいたします。



スタジオマキノ発表会

スタジオマキノ発表会
時間等全く決まっておりませんが、牧野京子作品過去作品を上演します。
牧野京子舞踊研究所(という名前だったようです)最後の発表会となります。
http://www16.ocn.ne.jp/~k.makino/index.html


第33回スタジオマキノ発表会
2014年12月13日(土)開場15:50 開演16:30
川崎市市民プラザふるさと劇場
http://www.kawasaki-shiminplaza.jp


私には数多くの先生がおり、札幌時代の先生から大学時代の先生、フランスの先生、演劇、狂言、整体さまざまなジャンルにわたっているが、おそらく師匠というとしたらこの人のことをあげねばならない。

とても美しいダンサーであったし、優れた振付家であったと思う。
私がかかわったのは大学に入ってからのころで、リサイタルなどをとっくに開かなくなっており、2年に1度くらい現代舞踊展に10分くらいの作品をだすだけになっていたが、それでもほかの作品と全く異なる独自の視点をもっていたし、私はそこから多くのことを学んだと思う。
今回彼女の過去作品を踊ることになり(ただし私が踊ったのは「危険な岸辺」「その日を摘め」の2作品)、あらためて見返してみて彼女の作品の面白さを思う。ダンサーの力量が足らず申し訳ないと心から思う。

ながらく踊り続けているが、私はほめられたことがない。
最後にお会いした日もおこられたくらいだ。
ずっと禅問答のような問いかけが続いている。
そして多分これからもつづく。

私の踊りは青い空になるのだろうか。
つきぬけるような青い空。



ちょうど昨日「からたちから」でお世話になったコールシャンティさんの合唱をきく。先生になかなかほめられなくて(ただしたまに褒められるとみんな動揺しちゃう、、、)という団員さんの声に、野本さん(指揮者)は、「合唱は哲学なんだよ、プレジャーじゃないんだ、カルチャーだから。ほめたらそこで終わってしまう。その先を常にめざさないといけないんだ」とはなす。長い年月をかけて育ててきた団員たち。だから言える。
でも一方でそれがわかる人ばかりではないしわからない人のほうがはるかに多い。
昔ながらの徒弟制度のような考え方は減りつつあるけれど、本当は言葉をこえて伝わっていくものがたくさんあり、それは短期的なワークショップなどでは決してえることが出来ない。
私にとって何のために踊るのかは大きな宿題である。


スタジオマキノは2014年12月末からキッズガーデンに移行し、なくなります。
そんなこともすべて決めて、この時期をえらんで逝った彼女らしい最期でした。


 

2014年12月1日月曜日

コントーションを学ぶ方に向けてのワークショップ

コントーションを学んでいる皆さんにダンス基礎編ワークショップを行いました。
2014.11.16/30
コントーション(サーカスの軟体系曲芸)を学んでいる方々にむけてのワークショップ
18:00-20:00。新宿THスタジオ。


そもそもコントーションとはサーカスなどで目にする軟体芸で、おなかつけて寝ているところからぐぐっと足を持ち上げ、顔の前に足がくるみたいな技で、なぜかモンゴルではとても盛んだそうです。ここで普段教えている長屋さんはモンゴルでコントーションに出会い「なんだこれは!!」と学んできたそう。
詳しくは
https://www.facebook.com/contortionjapanをみましょう。
特訓の成果がみることができます。

この練習も少し見学させていただきましたがかなりきついです。ちなみに本場はもっとハードだそう。。。
軟体芸ということからぐにゃぐにゃな身体をイメージすると思うのですが、実はかなり筋トレ要素が高く、全身筋肉痛になるそう。おそらく本来あるべきではないところにある身体を筋肉で支えなければならなくなるから。
なのでコントーションを終った後なのに、身体をほぐすマッサージからスタートです。

コンテンポラリーの基本であるまっすぐ、
バレエの基本であるまっすぐ、
それぞれにあわせての横や後ろの感覚などを説明しつつ、やってみつつ、みせつつ進みます。
が、なにぶんコントーションのことはわからないので、このラインに足をのせてコントーションをすると危険とかがあるのではないかとハラハラドキドキしながらいろいろ質問しながらお話しました。
クラシックバレエの昔の写真などをみれば分かるのですが(これはフィギュアや新体操にもいえます)体型が明らかにある時期からかわっていて、それまでのぽっちゃりあるいはムキっとしたかんじがなくなり、すらりと細い人がでてきます。これは確実に脚のあげ方がかわったからで、筋肉を使わないであげることができるようになったから。細く真ん中に集めてしまうことで無駄のない動きをめざす、その結果技術レベルも飛躍的に向上しています。
細ければよいということではなく、筋肉を痛めつけずにできるところがあるということで、これを参考にするのはとても重要なポイントではないかと思われました。

コンテンポラリーの場合はその人の個性が見えることの方が大事なので、体型を「理想」に近づけていく行為自体意味がない(好きな振付家の好みに合わせたいみたいなのがあるにしても)なのですが、クラシックバレエベースの演目は動きの特性上細く、長く、より大きくとなるのですね。(リフトとかもありますしね)

コントーションの場合も物、人の上にのるなどの将来性を考えるとある程度細身の方がよいだろうと予想されます。

またコントーションは特殊に背中をカーブさせているため前屈はどうなのかという問題がでていました。(これはタカセのこどもからの疑問)急激におったところから戻すなどのことをしなければまず問題はなさそうです。が、一回おってしまうと腰を戻すことが必要となるため、コントーション型ではないそり方もマスターした方がダンスとしては踊りやすいだろうと予想されました。
そるという動きは大きな空をイメージさせるとても美しい動きです。足からいかにつなぐかが見えていればそる大きさは実はあまり関係なかったりします。そのかんじ。
今回は動きを冷静に分析しながら、進めていきましたが、ダンスを専門とする身として教えるとして最も大切なことはイメージをいかに動きとつなぐかではないかと思います。おそらく技術的なことであればこのような短期のワークショップで数回行った後、できればクラシックバレエそのもののクラスをうけてもらうのがよいのではないか(俗にいう身体トレーニングとしてもバーレッスンは結構便利です)と思うのですが。

未知なる身体の可能性をかいまみました。
また近々行うみたいです。ご興味のある方はぜひ。